何でもない時、ふと訪れる痛み
今日は、なんでもない一日。
朝、娘にちゅーをして出てきた。
空は薄い青、水色のような青に
灰色の雲が散り散りに浮かんで、
大気の流れに取り残されたよう。
風はおだやかに過ぎ去り、
車の排気音がよく聞こえた。
昨夜の雨で濡れた街は
まるで丸洗いされた服のよう。
ふと、
指先から痛む。
"痛い"と言えるのかわからない。
指先の痛みは手の甲
手首、腕、脇を通って体の中心に到達する。
──失恋した時の胸の痛みに似てる。──
この痛みがどこから来るのか分からない。
ただそんな痛みが、なんでもない日の午後、
指先から訪れる。